算数の問題の中でも、文章問題が苦手という子どもはどのクラスにも一定数存在します。
ここでは、その文章問題が苦手な原因をいくつか紹介していきます。
①読書は好きなのに文章問題が苦手。
この場合、文字を読むことや情景を想像することはある程度できている状態だと考えられます。それなのになぜ文章問題だと間違えてしまうのか、不思議に思われる方もいることでしょう。実は算数の文章問題には「算数文法」といわれる定型文が存在するからなのです。「10は0.1のいくつ分」、「——は——の〇倍」など、決まりきった定型の質問の形を、まず見分けることが必要です。
読書が好きな子どもは普段から文章を頭の中でイメージする力がありますが、前後の文脈から想像することができるため、一言一句の読み取りを厳密に行っていなくても読書を楽しめます。ところが、算数はストーリーではなく、切り取った文章から答えを考えなくてはならないため、文法をしっかり理解して読み取らなくてはなりません。
この場合は、問題の中身をイメージすることも大事ですが、算数文法に慣れて、問われていることを素早く読み解く力を身につけることが近道です。

②ちゃんと文章を読まないで答えを出している。
小学校のテストは、掛け算の学習をしたときは掛け算の文章問題、割り算の学習をしたときは割り算の文章問題がでる、ということが多いです。そのため、数字が出てくると、文章をろくに読まないで「今はかけざんの勉強だから掛ければいいや」という乗り切り方でテストを切り抜けている子どもがいます。
ある5年生の子どもに1年生の足し算の文章問題を出すと、「今は5年生だから割り算かな」と見当をつけて式を立てた子どもがいました。この子どもはまさに上のような乗り切り方をしてきた例です。
この場合、確認することは次の2つ。
①目で文字を追って正しく読めているか。
②文章の内容をとらえる力はあるか。
まず、①について説明しましょう。
お子さんは、本当に正しく目を使えているのでしょうか。
学校で行われる「視力検査」は見る力を測定しています。それがたとえ1.0以上であっても「視る」ことができているかどうかは、別の問題です。追視といって、文章を縦に、横に水平に目線を動かすことができるかどうかを確かめる必要があります。途中で視線が外れる(視線が揺れる)傾向のある子どもは、文章を読むことが毎回とても苦痛です。本人は小さい時からその中で生きてきていますから、自分の目線が揺れているかどうかなど、考えたこともなく、こういうものだと思って生きているでしょう。
また、原始反射が残っている子どもの中には、白い紙の上に書かれた文字を読むのがつらい、という子どももいます。それも「こういうものだ」と思っていますから、自分から不調を訴えることはないでしょう。
ご両親も、お子さんの視線の揺れに気が付かない場合がとても多いです。
さきほどの5年生の子どもは、ビジョントレーニングを1年以上続けたある日、突然「なんや、これこういうことか」と、文章問題を解き始めました。文章を読むのが苦手だった子どもは、実は目線の不調で文字を読むのがつらかったため数字だけをみつけて式を立てていたようです。ですが、落ち着いて文章を読む力が付いたとき、問われていることに気が付いてすらすらと答えることができるようになったのです。
身近な大人が、お子さんの目の不調に気付いて、早めに手立てをしてあげてください。

次に、②について説明します。
文章をイメージするためには、簡単な図にかけるか、ということがあります。
教科書に示されている図や、自己流の図でも構いません。とにかく数の関係を図に表せるかということが大事です。
その時、その二つの数量の関係に気が付くか。増えてきたのか、減ったのか、比べているのかなど、その2つの数の関係をとらえることで式を立てることができるようになります。
この練習としては、カードに文章問題を1枚に1問書き、足し算2枚、引き算3枚のように用意します。そして、計算したり答えを出したりさせるのではなく、その5枚のカードを2つのグループに分けさせます。
それだけを問題を変えて何度か繰り返します。問題を分類するだけです。答えを出すことに意味を持たせるのではなく、文章を分類することに意味を持たせてください。こういった練習で、文章問題をイメージする練習をすることができます。
このやり方は①の、読書が好きなのに文章問題が苦手、というお子さんにも良い練習になります。



